AI Paper English F.o.R.

人工知能(AI)に関する論文を英語リーディング教本のFrame of Reference(F.o.R.)を使いこなして読むブログです。

U-Net | Abstract 第1文

There is large consent that successful training of deep networks requires many thousand annotated training samples.

 

Olaf Ronneberger, et al., "U-Net: Convolutional Networks for Biomedical Image Segmentation"

https://arxiv.org/abs/1505.04597

医療用画像のようにデータ数をたくさん用意できない場合においても、精度の良いセグメンテーションを可能にしたU-Netの論文である"U-Net: Convolutional Networks for Biomedical Image Segmentation"のAbstractの第1文について、英語リーディング教本のFrame of Reference(F.o.R.)を使って英文構造を解読します。

 

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「深層ネットワークの訓練の成功には、数千の注釈がつけられた訓練サンプルを必要とするという大きな同意がある。」

 

Thereは誘導副詞です。誘導副詞のthereは、述語動詞を主語の前に引き出す働きをします。このthereは場所は表していないので、「そこに」と訳出してはいけません。

 

この文から名詞節を省くと、

There is large consent. 「大きな同意がある。」

という文になります。誘導副詞のthereを外すと、

Large consent is. 「大きな同意がある。」

という語順の文になります。なぜなら、誘導副詞のthereは述語動詞を主語の前に引き出す働きしていて、そのthereがいなくなってしまったからです。(ちなみにconsentは不可算名詞なので、aがついたり複数形になっていたりはしません。)

ここで、どんな同意なの?という疑問に対して補足するために、この語順のまま名詞節をconsentの同格として追加すると、

Large consent that successful training of deep networks requires many thousand annotated training samples is.

という、一見どこに主語と述語動詞があるのかわかりにくい文になってしまいます。そのため、誘導副詞thereによって述語動詞を主語の前に引き出す働きをさせることにより、

There is large consent that successful training of deep networks requires many thousand annotated training samples.

という冒頭の文になり、読みやすい文にできます。

 

あと一点細かいですが、ここでは「trainingは⓵-ingでsamplesを修飾する」ではなく、「trainingは名詞、samplesも名詞で、名詞+名詞で合わせて一つの名詞」という書き方にしました。機械学習分野では、training samplesという一つの言葉として通用するかと思います。

 

また、「大きな同意がある」というのは思いっきり直訳的な表現ですが、意訳すると「皆さんご存知の通り」にすると良いかなと個人的には思います。砕いた表現でいうと「皆さんご存知の通り、ディープラーニングの学習って教師ありデータが数千も必要なんですよね・・・。(それって大変ですよね・・・)」という論文の最初の導入の一文になっているのだと思います。

 

最後に、annotatedという③のp.p.を省略しない形で書くと次のようになります。③の過去分詞を裸で使ったときは「③される(された)」という「受身」の意味を表します。ここでは「注釈がつけられた」という受身の意味です。

 

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