AI Paper English F.o.R.

人工知能(AI)に関する論文を英語リーディング教本のFrame of Reference(F.o.R.)を使いこなして読むブログです。

ResNet | Abstract 第1段落 第4文

We provide comprehensive empirical evidence showing that these residual networks are easier to optimize, and can gain accuracy from considerably increased depth.

 

Kaiming He, et al., "Deep Residual Learning for Image Recognition"

https://arxiv.org/abs/1512.03385

2015年のILSVRCで1位になったディープラーニングモデルであるResNetの論文の"Deep Residual Learning for Image Recognition"のAbstractの第1段落の第4文について、英語リーディング教本のFrame of Reference(F.o.R.)を使って英文構造を解読します。

 

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「我々は、それらの残差ネットワークは最適化がより簡単であり、かつ著しく深さが増されるために精度を上げることができることを示す包括的な経験的実証を提供する。」

 

この文は実は特殊な英文です。なぜなら、この文はF.o.R.の基本に従わない英文だからです。つまり、英語リーディング教本および英語構文のエッセンス Stage-1に記載されているF.o.R.によって8割の英文は正確に構文を把握することが可能とされていますが、この英文にはその範囲外である2割に該当する構文が用いられています。

 

具体的には、この英文では「目的語が足りない不定詞」が使われており、英語構文のエッセンス Stage-2で説明されている内容です。同じ論文の冒頭でも登場しました。そちらの方がシンプルな英文で理解しやすいと思いますので、合わせてご参照いただければと思います。

ai-paper-for.hatenablog.com

 

ここではto optimizeの目的語が足りません。主語であるthese residual networksがto optimizeの意味上の目的語O'になります。easierは形容詞で補語ですので、to optimizeは形容詞を修飾する不定詞に該当し、

 

S is 形容詞 to -

Sは、-するという点で形容詞が表す性質を持っている

 

という意味を表します。したがって、その部分のみをより厳密に訳すると、

 

「それらの残差ネットワークは最適化がより簡単であるという性質を持っている。

 

というように、ResNetで提案する残差ネットワークが従来のネットワーク構造よりも最適化しやすいという一般的な性質について論文著者がアピールしたい一文であることが伺えます。

 

ResNet | Abstract 第1段落 第1文

Deeper neural networks are more difficult to train.

ResNet | Abstract 第1段落 第4文から一部抜き出し

these residual networks are easier to optimize

 

このように比較すると、同じ構文を使った対比表現によって、論文で提案されているresidual networksの有効性について強調して述べていることが伺えます。

 

ResNetの概要については、画像認識 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)のChapter 6 (畳み込みニューラルネットワーク)に説明があります。

 


ai-paper-for.hatenablog.com

  

 

薬袋善郎先生の公式ウェブサイト 

http://minai-yoshiro.com