ResNet | Abstract 第2段落 第1文
The depth of representations is of central importance for many visual recognition tasks.
Kaiming He, et al., "Deep Residual Learning for Image Recognition"
2015年のILSVRCで1位になったディープラーニングモデルであるResNetの論文の"Deep Residual Learning for Image Recognition"のAbstractの第2段落の第1文について、英語リーディング教本のFrame of Reference(F.o.R.)を使って英文構造を解読します。
「表現の深さは多くの視覚認識タスクにとって中心的な重要性を持っている。」
一見短くて簡単な英文ですが、実は特殊な英文です。なぜなら、この文はF.o.R.の基本に従わない英文だからです。つまり、英語リーディング教本 および英語構文のエッセンス Stage-1に記載されているF.o.R.によって8割の英文は正確に構文を把握することが可能とされていますが、この英文にはその範囲外である2割に該当する構文が用いられています。
具体的には、この英文では「S is of 〜」が使われており、英語構文のエッセンス Stage-2で説明されている内容です。
S is of 〜. は、構造は②+aC です。aCは形容詞句でisの補語であることを示しています。意味は原則として次の4つのどれかを表します。これらのうち、9割は1番の意味で使われており、今回の英文でも1番の意味で使用されています。
なお、形容詞句で補語の表記について、英語構文のエッセンスStage-2において"apC"となっていますが、英語リーディング教本では"aC"となっているので、今回は"aC"と記載しました。ちなみに、pはphrase(句)を意味していて、書いても書かなくても構文解析自体には大きな影響はありません。
S is of 〜.
- Sは 〜 を持っている(帯びている)。
- Sは 〜 に関するものである。
- Sは 〜 の1つである。
- Sは 〜 で出来ている。
今回もシンプルで短い英文ですが、F.o.R.の観点から見ると少し特殊な英文の実例でした。ResNetの論文のAbstractの中では、これで3つ目のF.o.R.の基本に従わない英文になります。
ResNet | Abstract 第1段落 第1文 - AI paper F.o.R.
ResNet | Abstract 第1段落 第4文 - AI paper F.o.R.
ResNetの概要については、画像認識 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)のChapter 6 (畳み込みニューラルネットワーク)に説明があります。
薬袋善郎先生の公式ウェブサイト