AI Paper English F.o.R.

人工知能(AI)に関する論文を英語リーディング教本のFrame of Reference(F.o.R.)を使いこなして読むブログです。

SSD | Abstract 第7文

Experimental results on the PASCAL VOC, COCO, and ILSVRC datasets confirm that SSD has competitive accuracy to methods that utilize an additional object proposal step and is much faster, while providing a unified framework for both training and inference.

 

Wei Liu, et al., "SSD: Single Shot MultiBox Detector"

https://arxiv.org/abs/1512.02325

物体検出タスクにおいて、YOLOよりも高速でしかもFaster R-CNNと同等の精度を実現したSSDの論文である"SSD: Single Shot MultiBox Detector"のAbstractの第7文について、英語リーディング教本のFrame of Reference(F.o.R.)を使って英文構造を解読します。

 

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「PASCAL VOC、COCOおよびILSVRCデータセットにおける実験的な結果は、SSDが訓練と推論の両方に対して単一のフレームワークを提供する一方で、追加の物体提案段階を利用する手法に対して競争力のある精度を誇り、断然速いことを確証する。」

 

この文は実は特殊な英文です。なぜなら、この文はF.o.R.の基本に従わない英文だからです。つまり、英語リーディング教本および英語構文のエッセンス Stage-1に記載されているF.o.R.によって8割の英文は正確に構文を把握することが可能とされていますが、この英文にはその範囲外である2割に該当する構文が用いられています。

 

具体的には、この英文では「従属節の短縮形」が使われており、英語構文のエッセンス Stage-2で説明されている内容です。名詞節、形容詞節、副詞節にはそれぞれ定型的な短縮形があり、ここではwhileからinferenceまでの副詞節が短縮形になっています。

 

when, while, if, thoughなどの副詞節を作る従属節属詞の次に、主語+be動詞が省略されることがあり、それが副詞節の短縮形です。

 

この文での副詞節では、主語+be動詞であるIt isが省略されています。ItはSSDを指します。F.o.R.の基本ルールだけで読んでしまうと、接続詞whileが作る副詞節の内側に主語と動詞が見つからずに文を成立させることができずに困ることになってしまいます。

 

なお、英語構文のエッセンス Stage-2のP65にも解説がありますが、「副詞節の短縮形」ではなく、「分詞構文の意味をはっきりさせるために、分詞構文の前に従属接続詞を置いたもの」という捉え方をすることもできます。大抵の場合はどちらの捉え方でも可能です。

 

また、最後に"both 〜 and"の形が出てきますが、"both 〜 and"を合わせて一つの等位接続詞として扱うと、リーディング教本の276ページに解説があります。この文ではforから始まる形容詞句の中身なので、その記載は省略されています。

 


ai-paper-for.hatenablog.com

  

 

薬袋善郎先生の公式ウェブサイト 

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