SIFT | Abstract 第6文
This approach to recognition can robustly identify objects among clutter and occlusion while achieving near real-time performance.
David G. Lowe, "Distinctive Image Features from Scale-Invariant Keypoints"
ディープラーニングではなく2004年に発表された特徴量ベースの機械学習による検出手法で、特徴点の検出と特徴量の記述の二段階で細かい特徴を把握して物体認識をするSIFTの論文である"Distinctive Image Features from Scale-Invariant Keypoints"のAbstractの第6文について、英語リーディング教本のFrame of Reference(F.o.R.)を使って英文構造を解読します。
「認識に対するこの手法は、クラッタとオクルージョンの中から物体をロバストに特定することができ、その一方でリアルタイムに近い性能を達成する。」
この文は特殊な英文です。なぜなら、この文はF.o.R.の基本に従わない英文だからです。つまり、英語リーディング教本 および英語構文のエッセンス Stage-1に記載されているF.o.R.によって8割の英文は正確に構文を把握することが可能とされていますが、この英文にはその範囲外である2割に該当する構文が用いられています。
具体的には、この英文では「従属節の短縮形」が使われており、英語構文のエッセンス Stage-2で説明されている内容です。名詞節、形容詞節、副詞節にはそれぞれ定型的な短縮形があります。ここではwhileから文末までの副詞節が短縮形になっています。
when, while, if, thoughなどの副詞節を作る従属節属詞の次に、主語+be動詞が省略されることがあります。それが副詞節の短縮形です。F.o.R.の基本ルールだけで読んでしまうと、接続詞whileが作る副詞節の内側に主語と動詞が見つからずに文を成立させることができずに困ることになってしまいます。
この文での副詞節では、主語+be動詞である"it is"が省略されています。主語のitは"This approach"を指します。省略される主語は、主節の主語(この文ではThis approach)と一致するのが原則ですが、文脈から判断がつく場合は、省略されることもあります。この文では、省略される主語は、主節の主語と一致しています。
なお、英語構文のエッセンス Stage-2のP65にも解説がありますが、「副詞節の短縮形」ではなく、「分詞構文の意味をはっきりさせるために、分詞構文の前に従属接続詞を置いたもの」という捉え方をすることもできます。大抵の場合はどちらの捉え方でも可能です。
occlusionは該当する日本語がわからなかったので、そのまま「オクルージョン」にしました。
「オクルージョンとは手前にある物体が背後にある物体を隠して見えないようにする状態のこと」とのことです。
SIFT記述子については、画像認識 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)のChapter 2 (局所特徴)に説明があります。
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