AI Paper English F.o.R.

人工知能(AI)に関する論文を英語リーディング教本のFrame of Reference(F.o.R.)を使いこなして読むブログです。

Transformer | Abstract 第6文

On the WMT 2014 English-to-French translation task, our model establishes a new single-model state-of-the-art BLEU score of 41.8 after training for 3.5 days on eight GPUs, a small fraction of the training costs of the best models from the literature.

 

Ashish Vaswani, et al., "Attention Is All You Need"

https://arxiv.org/abs/1706.03762

RNNやCNNを使わず、Attentionのみを使用した機械翻訳モデルであるTransformerの論文の"Attention Is All You Need"のAbstractの第6文について、英語リーディング教本のFrame of Reference(F.o.R.)を使って英文構造を解読します。

 

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「WMT2014の英語からフランス語への翻訳タスクでは、我々のモデルは、8個のGPUで3.5日間の訓練の後で、新しい一つのモデルの最高水準のBLUEスコアである41.8を打ち立てる。それは文献からの最良のモデルの訓練コストのごく一部しかかからない。」 

 

補足解説が必要なポイントがたくさんある文です。

 

まず、文末のカンマ以降の"a small fraction of the training costs of the best models from the literature. "の部分は、文の要素ではなっていないので、補足的な扱いとして日本語訳では文を分けました。つまり、カンマ以降の名詞である"training costs"がestablishの目的語ではないことや、カンマ以降が節や句を形成しているわけでもないことから、カンマ以降は文の要素ではありません。

意味から察すると"it takes"が省略されていると考えられると思います。

 

コンパスローズ英和辞典(薬袋善郎先生が英語リーディングの奥義でオススメしている辞書)の巻末の文法解説(2226ページ)に、「挿入」に関しての説明があります。

コンパスローズ英和辞典 [並装]

コンマ(,)やダッシュ(ー)で区切って語・句・節を入れることで、文の主な骨格に注釈を割り込ませることを挿入(parenthesis)という。挿入された要素は、文の要素にはならない。

 

次に、"a small fraction of the training costs"は「種類 + of 〜」の形です。"A of B"のAが「数量」「種類」「様態」を表す名詞のときには例外的にAとofが結びついて形容詞句になり、Bを修飾することがあります。したがって、"a small fraction of"という形容詞句が"the training costs"を修飾しています。

 

また、本文の"a new single-model state-of-the-art BLEU score"の部分では、形容詞と「名詞+名詞」の形が混在しています。

  • "BLEU score"は「名詞+名詞」の形で一つの名詞と考えます。
  • newは形容詞で"BLEU score"を修飾しています。
  • single-modelは名詞で、"BLEU score"の名詞とくっついて「名詞+名詞」の形で一つの名詞と考えます。
  • state-of-the-artは形容詞で"BLEU score"を修飾しています。

 

最後に、"after training"は「前置詞+名詞」の形と判断しました。「前置詞+動名詞」の形とも迷いましたが、特に動詞の目的語もなく、どちらでも解釈できそうなので、表記が簡単な方を選びました。

 


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