AI Paper English F.o.R.

人工知能(AI)に関する論文を英語リーディング教本のFrame of Reference(F.o.R.)を使いこなして読むブログです。

GoogLeNet | Abstract 第3文

This was achieved by a carefully crafted design that allows for increasing the depth and width of the network while keeping the computational budget constant.

 

Christian Szegedy, et al., "Going Deeper with Convolutions"

https://arxiv.org/abs/1409.4842

2014年のILSVRCで1位になったディープラーニングモデルであるGoogLeNetの論文の"Going deeper with convolutions"のAbstractの第3文について、英語リーディング教本のFrame of Reference(F.o.R.)を使って英文構造を解読します。

 

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「これは、計算にかかる予算を一定に保ちつつもネットワークの深さと幅を増加させることを考慮に入れた、慎重に念入りに作られた設計によって達成された。」

 

この文は実は特殊な英文です。なぜなら、この文はF.o.R.の基本に従わない英文だからです。つまり、英語リーディング教本および英語構文のエッセンス Stage-1に記載されているF.o.R.によって8割の英文は正確に構文を把握することが可能とされていますが、この英文にはその範囲外である2割に該当する構文が用いられています。

 

具体的には、この英文では「従属節の短縮形」が使われており、英語構文のエッセンス Stage-2で説明されている内容です。when, while, if, thoughなどの副詞節を作る従属節属詞の次に、主語+be動詞が省略されることがあり、それが副詞節の短縮形です。

 

この文ではwhileからconstantが副詞節で、主語+be動詞であるthat isが省略されています。F.o.R.のルールだけで読んでしまうと、接続詞whileが作る副詞節の内側に主語と動詞が見つからずに文を成立させることができずに困ることになってしまいます。この文で省略されたthatは本文中のthat allowsのthatと同じで形容詞節の外側のdesignを指しています。

 

なお、英語構文のエッセンス Stage-2のP65にも解説がありますが、「副詞節の短縮形」ではなく、「分詞構文の意味をはっきりさせるために、分詞構文の前に従属接続詞を置いたもの」という捉え方をすることもできます。大抵の場合はどちらの捉え方でも可能です。

 

また、日本語訳の際に一点気をつけたことがallowsの訳です。「可能にする」と訳そうかと最初考えたのですが、この文のallowsは他動詞ではなく自動詞であり、特に"allow+for+(代)名詞"で「考慮に入れる」という意味のようなので、そのように訳しました。

 

GoogLeNetの概要については、画像認識 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)のChapter 6 (畳み込みニューラルネットワーク)に説明があります。

  


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薬袋善郎先生の公式ウェブサイト 

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