AlphaGo | Abstract 第7文
This is the first time that a computer program has defeated a human professional player in the full-sized game of Go, a feat previously thought to be at least a decade away.
David Silver, et al., "Mastering the game of Go with deep neural networks and tree search"
2015年10月に人間のプロ囲碁棋士を互先(ハンディキャップなし)で破った初のコンピュータ囲碁プログラムであるAlphaGoの論文の"Mastering the game of Go with deep neural networks and tree search"のAbstractの第7文について、英語リーディング教本のFrame of Reference(F.o.R.)を使って英文構造を解読します。
「これは、囲碁の普通サイズのゲームにおいてコンピュータプログラムが人間のプロ棋士を破った初めてのことであり、少なくとも10年先になると以前は考えられていた偉業である。」
Thisは前の文を指しています。
AlphaGo | Abstract 第6文 - AI Paper English F.o.R.
thatは従属接続詞です。thatからGoまでが名詞節で、直前のtimeと同格になっています。
featは名詞で、「偉業」という意味です。Goの直後のカンマで文としては一度成立していますので、feat以降の部分は挿入されたものとなります。そのfeatはthatからGoまでが名詞節と同格になっていると解釈しました。したがって、featは文の構成要素としての名詞の基本的働き(主語・動詞の目的語・前置詞の目的語・補語)は担っていないので、単純に名詞を示すnと図示してあります。
full-sizedは「普通サイズの、実物大の」という意味の形容詞です。
fullsize とは 意味・読み方・表現 | Weblio英和辞書
"at least"は一つの副詞としました。
at leastの意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書
awayは副詞と形容詞がありますが、ここでは形容詞と判断しました。詳細については下記で説明します。
a decadeは副詞的目的格で、awayを修飾しています。副詞的目的格とは「名詞に前置詞を付けず、名詞のままで副詞の働きをさせる現象」です。
つまり、
"a feat previously thought to be at least a decade away."
の骨格は
"a feat previously thought to be ... away."
「以前は・・・先だと考えられていた偉業」
というbeが第二文型の動詞型で、awayは形容詞で補語です。どれくらい先の時間がかかるかを"at least a decade"で表しています。
副詞的目的格については、下記の例文を補足として載せておきます。
こちらは、英語リーディング教本の99ページの例文です。
こちらは、コンパスローズ英和辞典 [並装]の119ページの形容詞のawayの例文です。
AlphaGoに関する概要はこちらの書籍でも丁寧に解説されています。
最強囲碁AI アルファ碁 解体新書 増補改訂版 アルファ碁ゼロ対応 深層学習、モンテカルロ木探索、強化学習から見たその仕組み
薬袋善郎先生の公式ウェブサイト