AI Paper English F.o.R.

人工知能(AI)に関する論文を英語リーディング教本のFrame of Reference(F.o.R.)を使いこなして読むブログです。

Fast R-CNN | Abstract 第3文

Compared to previous work, Fast R-CNN employs several innovations to improve training and testing speed while also increasing detection accuracy.

 

Ross Girshick, "Fast R-CNN"

https://arxiv.org/abs/1504.08083

物体検出タスクにおいて、特徴マップの再利用によってR-CNNよりも高速化に成功した"Fast R-CNN"のAbstractの第3文について、英語リーディング教本のFrame of Reference(F.o.R.)を使って英文構造を解読します。

  

f:id:AI-paper-FoR:20190918000403p:plain

 

「以前の研究と比較すると、Fast R-CNNは、検出精度も向上させると同時に、訓練とテストスピードを向上させるいくつかのイノベーションを用いる。」 

 

comparedは準動詞で、前の働きは副詞です。つまり分詞構文です。カンマ以降の文全体を修飾しています。

 

previous workとはR-CNNのことです。

R-CNN カテゴリーの記事一覧 - AI Paper English F.o.R.

 

employは他動詞です。ここでは「〈人を〉雇用する,雇う」ではなく、「〈もの・手段などを〉用いる,使用する」の意味です。

英語「employ」の意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書

 

 "training and testing speed"は、"training speed"と"testing speed"という「名詞+名詞」で一つの名詞となっているものの間に等位接続詞のandが入って繋いでいるものと解釈しました。

 

最後に、この文は特殊な英文です。なぜなら、この文はF.o.R.の基本に従わない英文だからです。つまり、英語リーディング教本 および英語構文のエッセンス Stage-1に記載されているF.o.R.によって8割の英文は正確に構文を把握することが可能とされていますが、この英文にはその範囲外である2割に該当する構文が用いられています。

 

具体的には、この英文では「従属節の短縮形」が使われており、英語構文のエッセンス Stage-2で説明されている内容です。名詞節、形容詞節、副詞節にはそれぞれ定型的な短縮形があります。ここではwhileから文末までの副詞節が短縮形になっています。

 

when, while, if, thoughなどの副詞節を作る従属節属詞の次に、主語+be動詞が省略されることがあります。それが副詞節の短縮形です。F.o.R.の基本ルールだけで読んでしまうと、接続詞whileが作る副詞節の内側に主語と動詞が見つからずに文を成立させることができなくて困ることになってしまいます。

 

この文での副詞節では、主語+be動詞である"it is"が省略されています。主語のitはFast R-CNNを指します。省略される主語は、主節の主語(この文ではThe third contribution)と一致するのが原則ですが、文脈から判断がつく場合は、省略されることもあります。この文では、省略される主語は、主節の主語であるFast R-CNNと一致しています。

 

なお、英語構文のエッセンス Stage-2のP65にも解説がありますが、「副詞節の短縮形」ではなく、「分詞構文の意味をはっきりさせるために、分詞構文の前に従属接続詞を置いたもの」という捉え方をすることもできます。大抵の場合はどちらの捉え方でも可能です。

 

 

Fast R-CNNの技術の概要については、画像認識 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)のChapter 7 (物体検出)に説明があります。

 


ai-paper-for.hatenablog.com

  

 

薬袋善郎先生の公式ウェブサイト 

http://minai-yoshiro.com